学生経営「Cafeここたの」の失敗と成功
理念作りとマーケティングの重要性を体感した出来事
学生のときに携わっていたCafe創設プロジェクト。
いまや、2003年の創業以来、
毎年学生店長を代替わりさせながら、
14年も継続してオープン中の、
地域に欠かせない愛されるお店となった、このカフェ。
当初は閑古鳥がなくぐらいの閑散ぶりから、
一躍人気店となり、全てのテレビ局から取材され、
朝のワイドショーで取り上げられ、
書籍化もされるほどになった、店の大逆転劇。
とんでもない紆余曲折の数々があるのだが、
理念とマーケティングが
とても重要だという事例でもあった。
カフェの大失敗時代
当時は、このカフェ、
木のぬくもりがいいね、
ということで 和風路線で、
地域の界隈の おじいちゃんおばあちゃん世代に受けるものにしよう、 としていた。
大々的に、 国立市長まで来て、テープカットの
オープニングセレモニーまで開催されたこのカフェは、
オープンからわずか2カ月後には
立て直し計画を立て始めることとなる。
ターゲットとしていた祖父母世代は、
コーヒーしか飲まないので 客単価が低く、
彼らが好むであろうと用意していた
和風メニュー(焼きおにぎりや高菜チャーハン)は、
提供まで時間がかかったりする割には、
カフェのウリであった、サイフォン式のコーヒーとマッチしない。
それに、たまに注文があっても、
実際に食事までするのは もう少し若い世代の、
学生にとっての母親世代の、主婦だったり。
食事をしたいな、と思っている人には、
あまり目ぼしい 心惹かれるメニューがないから、
まぁ、お付き合いと話題性で
一度くらいはお店に来てくれるが リピートはしてくれない。
こんな状況でだったから、
1日に10人お客が来れば御の字で、
1人300円未満のコーヒーしか飲まないので、
1日の売上が3000円、なんていうことが続いていた。
それで、これは、もうあかん、ってことで、
ターゲットを絞り直した。
失敗からの立て直し
ターゲットを、 子育てが終わった主婦層 に再定義して、
彼女たちが集まりたくなるようなコンセプト、雰囲気、メニュー、
提供方法(什器など)を 再定義するというプロジェクト。
どういう人たちがカフェを利用しているのか、
誰がどういう場所を必要としているのか
ということをリサーチしてからのターゲット決定と
ターゲットは徹底的に絞り込んだところから、
あらゆる改革に取り組み、
同じ店?!と眼を見張るばかりに
劇的ビフォーアフターを遂げたお店は 、
緑が豊かで光も暖かく、
スタバよりもアットフォームに 居心地よく、
スタバほど高くなく、 食事も、
日替わりホットサンドランチセットなど
コーヒーを引き立てる、コーヒーにあう食事メニューで
素敵な白の什器にオシャレに盛り付けられ出てくる店になり、
桜で有名な大学通りが賑わう時期は、
満員御礼の日々となり、普段の平日も狙い通りの主婦の方や、
子連れママたちの憩いの場として定着していき、
あれよあれよと、1日の平均売上は、
3000円から30,000円まで上がっていった。
売上10倍である。
その後は、次の世代の学生たちが、
展示スペースとしての壁の貸し出しや
イベント運営などもしたり、
メニュー新規開発に取り組み続けているので
売上が上がり続けていて、
今や地元の人気店として定着している。
だからこそ、オープンから14年経った今も存続している。
「ここに来ると楽しい店」 というコンセプトから
会話が弾むような、 このカフェで知り合った人同士が
仲良くなるような場所を作りたい
そこから始まり、そういう場所はどんな人が必要としているだろうか、
と考えていった先に、それを細部まで吟味していき
形にしていった先のブレークスルーだった。
これはマーケティング理論の重要性と
どんなときも「理念-コンセプト-」が大切だと
身を以て強烈に体感した出来事だった。
理念がしっかり決まったあとは、
あらゆるときに迷いがなかった。
ショップカードを作るときも
什器を何にするかを決めるときも
メニュー表のデザインを決めるときも
メニュー自体を考えるときも
店内展示のアートの方向性も
掃除マニュアルを作るにしても
ホストのための声かけマニュアルを作るにしても
アルバイトにシフトを作るにしても
とにかくあらゆる細部で
これこそが理念/コンセプトの体現!
という風にどんどん出来上がってくる。
逆にそこに、一貫した 「なぜ、そうするのか」がないと、
どうにも気持ち悪く適当な、
その場しのぎの空間や店員が出来上がる。
実際、リニューアル前の 1日に客が10人、
1人がコーヒー一杯しか 注文しない時期は、
お店の確固たる軸がなかったため、
雰囲気が居酒屋みたいだと言われたり
その日働いている人によって店の雰囲気が違うと言われたり、
提供されてるメニューをみた客から、
食堂なの?カフェなの? と言われたり、と。
なんだか、意図しないことが起きてくるのだ。
たかが理念、されど理念。
そしてそこから一気通貫した戦略と戦術。
スタートは、ここから。
理念があるというのは、ビジネスの軸が決まるということ。
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理念から掘り起こして
世界に通じるビジネスプランを立てる
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